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よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

猫を抱いて象と泳ぐ (小川洋子)

オススメ本

博士の愛した数式』で有名な小川洋子さんが今度はその美しい文章でチェスを描いてくれました。

 

『猫を抱いて象と泳ぐ』はチェスを"マスター"から学んだ少年がチェスの魅力に取り憑かれていていく話。少年は天才アリョーヒンの"盤上の詩人"という響きと彼の棋譜に感動し、リトル・アリョーヒンとして一生を過ごします。リトル・アリョーヒンもまた天才であり、彼と対局でした人がみな、リトル・アリョーヒンとの対局が生涯で最高の棋譜であると断言するほどの棋譜の美しさでした。

 

リトル・アリョーヒンはいろいろあって人形を操作して互いに姿が見えないままチェスをするのですが、彼らはチェスを通して全てが見えているんですね。 

 個人的には碁をかじったことがあるので、盤上の詩という無限に広がる世界を描く様には感嘆しました。

 

あらすじでは触れませんでしたが象や猫やミイラなど、リトル・アリョーヒンをとりまくキャラクターはどこか悲しげでありながら幸せそうで読んでいるこっちまで優しい気持ちになってきます。

 

読み終わった後は、なんと和やかな物語だろうと放心してしまいました。死の香りがあちらこちらで漂うにもかかわらず、なぜこんなに落ち着けてしまえるのだろうか。自分まで人形の中で静かに息を凝らしているような、音の閉ざされた深い海を泳いでいるような気持ちになります。こんな芸当ができる小川洋子さん、畏れ入りました。

 

 


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