思惟漏刻

本のおすすめと思考とっちらかしサイバーデブリ

オススメ本

go(金城一紀)

韓国国籍を持つ高校生の話。誇張しているのか時代が違うのか、周囲の日本人の朝鮮人への差別が激しくて、主人公の杉原(本名は李)は差別と向き合い続けます。主人公が韓国国籍であることによる、日本人や高校進学前の朝鮮学校の人の両方から受ける差別が全…

華氏451度 (レイ・ブラッドベリ)

あらすじ (ネタバレ?含む) 世の中に溢れる禁書を焼き尽くす昇火士のモンターグは、自分の仕事を誇りに思っていた。しかし、好奇心に負け禁忌であると分かりながら焼くはずだった本を何度か密かに持ち帰り所持していた。隣家に住む不思議な雰囲気の少女や…

クラクラ日記(坂口安吾特集2)

坂口安吾夫人が彼と出会ってから彼が死ぬまでのことを書いた自伝的なもので、坂口安吾ファンは必読の一冊。 坂口安吾自身が最も大切にしたとして有名な『青鬼の褌を洗う女』ですが、そのモデルとなったのが『クラクラ日記』の著者である三千代夫人。 『クラ…

恋する原発 (高橋源一郎)

チャリティーAVを作る話です。 もう一度言います。 チャリティーAVを作る話です。 作者が自分で言っていますが不謹慎です。3.11の震災の支援チャリティーとしてAVを作るというので、常識はずれ極まりないことをします。ですが、逆に世間の常識に一発パンチを…

第七官界彷徨 (尾崎翠)

あらすじ 人間の第六感を超えた第七官に響くような詩を創りたいと密かに思う町子。一風変わった家族の一員となって共に生活することになる。一助は分裂心理学の研究をしていて、二助は黴の恋とこやしの研究をしている。三五郎は今年の春に二度目の音楽受験を…

嵐のピクニック (本谷有希子)

衝撃を受けました。 こんなにも訳が分からず、こんなにも面白いのは初めてです。 大江健三郎賞を受賞した短編集で、13篇収録されています。冒頭で述べた通り、訳が分からないのですが、脈絡がないとか理不尽とかそう言うことではなくて、どこか重要な核と…

ふるさとに寄する讃歌 (坂口安吾特集1)

あらすじ 何かを求めていながら、何を求めていればいいのか分からない私は、次第に希薄な存在になり、感情にさえ実感が欠けていることに気付く。 私は、求めることに、疲れていた。私は長い間ものを求めた。そのように、私の疲れも古かった。私の疲れは、生…

ベロニカは死ぬことにした (パウロ・コエーリョ)

あらすじ ベロニカは若く美しく仕事も順調だった。しかし、それでも心が満たされない彼女はある日、自殺を図った。目が覚めると精神病院におり、自殺が失敗していたことを知る。さらに、自殺の後遺症で余命が一週間ほどであることを告げられる。関わる気にも…

スロウハイツの神様 (辻村深月)

チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。 そんな一文で始まるのは、脚本家や小説家など創作活動に捧げている人々が集まって暮らすスロウハイツでの物語。彼らは同居人でもあり超人気作家でもあるチヨダ・コーキのファンで、特に環は熱烈なファン。そんな…

戦後史入門 (成田龍一)

今回は小説ではありません。最近は小説少なめですね。 さて、表題の『戦後史入門』は名前の通り戦後史についての入門書です。ですが、ただの入門書ではありません。 僕が予想していたのは、安保闘争があってこう言う背景があって、他にも大学紛争なんかがあ…

すべて真夜中の恋人たち (川上未映子)

『すべて真夜中の恋人たち』は紙の本で読みたい物語です。 きちんとイスに座って読み、コーヒーをすすりながら静かに紙をめくる。読み終わって、ふぅと小さめのため息をひとつつく。それから「いいなぁ」と感慨深げにつぶやいてしまう。 そういう読み方がと…

希望の国のエクソダス (村上龍)

あらすじ パキスタンで日本人の少年テロリストがインタビューを受けた映像が日本中に衝撃を与えた。特に同世代であった日本の中学生は感化され、立ち上がった。学校への反抗から始まり、ネットを駆使して仲間を募り、企業などを通して日本の経済構造を大きく…

小市民シリーズ(米澤穂信)について

前回の「古典部シリーズについて」に続いて今回は小市民シリーズを取り上げたいと思います。 表紙がどれもいいですね。小市民シリーズ通して、片山若子さんというイラストレーターの方が表紙を手がけているのですが、この人の絵はたまりません。大好きです。…

古典部シリーズ(米澤穂信)について

僕が読書にはまったきっかけとなった本です。 最初はアニメから入り、ドストライクすぎて古典部シリーズを読破し、勢いが止まらず小市民シリーズも一瞬で読んでしまった経験があります。僕はそれまで読書というものに小難しいものを感じていたので、読書の敷…

フィッツジェラルド短編集 (スコット・フィッツジェラルド)

『華麗なるギャツビー』で有名なスコット・フィッツジェラルドの短編集です。 6篇収録されているのですが、やはり全体的に似ているところがありますね。同じ作家の作品をいくつか読んでみるとなんとなくその人が見えてくる感じがありますが、フィッツジェラ…

楽園のカンヴァス (原田マハ)

あらすじ アンリ・ルソーの名作「夢」に瓜二つな絵画が隠されている。「夢をみた」と言うタイトルのその絵画は一体何なのか。公式に美術館に展示されている本物であるはずの「夢」は本当は贋作だったのか。 ルソーを専門とする日本人の天才研究者オリエ・ハ…

三四郎 (夏目漱石)

読まねばならないという謎の義務感を持っていながら結局全然読んでなかった『三四郎』です。この前ようやく読み終わったのですが、感想を一言 もっと早く読んでおけば良かった 漱石ともあろう秀才がまるで自分のような”頭のいい人に囲まれて劣等感に苛まれて…

死んでしまう系の僕らに (最果タヒ)

初めて扱いますが、詩集です。 僕はほとんど詩には手を出さないので紹介するのもおこがましいくらいなのですが、好きになってしまったので、仕方ないですね。 まず、表紙とタイトルが素敵です。 詩は全体が短いだけあって一単語一単語を大事に味わっていきた…

芋虫 (江戸川乱歩)

おどろおどろしい作品を描く印象の強い江戸川乱歩ですが、『芋虫』もまた然り。以下、あらすじです。 戦争から帰還した夫は四肢が全て失われており、加えて耳も使えず頭も十分には働かず、できることと言えばのたうち回ること口にペンを加えて何文字かの筆談…

友情 (武者小路実篤)

あらすじ(ネタバレ含む) 野島は美しい娘、杉子に出会い一方的な恋に落ちる。積極的に関係を築いていきたいと思いながらも鬱陶しく思われることを恐がり、進展のない日々を過ごす。そうした煩悶を親友の大宮に打ち明け、協力を仰ぐがなかなか首尾は良くない…

マザコン (角田光代)

『八日目の蝉』で有名な角田光代さんです。 僕はかつて、角田光代さんに打ち抜かれたことがありまして、『最後の恋 つまり自分史上最高の恋』という複数の作家さんの短編をまとめた本があったのですが、そこでの話がとんでもなくて「この人はヤバい!」と思…

コーヒーと恋愛 (獅子文六)

Sponsored Link // // あらすじ 主人公はお茶の間で人気な女優のおばさん坂井モエ子。コーヒーを淹れさせたらもの凄い美味しい。旦那は無類のコーヒー好きで、モエ子の周りには他にも可否会というコーヒー好き集団がいたりします。ある日、旦那がモエ子のコ…

星を継ぐもの (J・P・ホーガン)

海外のSF作品です。作者はJ・P・ホーガン SFだったら『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』とか『夏への扉』とかも読んでいて、いずれ記事を書いていこうと思っているのですが、今回はイチオシのお気に入り小説でいきます。 物語は月面で宇宙服を着た死体が…

美しい星 (三島由紀夫)

最初に読んだ三島由紀夫作品がこの『美しい星』でした。 代表作ではなく、こっから入ったのはあるサイトでおすすめされていたのを見たからです。 最近、映画化の話題を見かけましたがもう上映されているようですね。 僕のブログから読者が増えるのを期待しつ…

蠅の王 (ゴールディング)

初の海外文学です。ゴールディングの『蠅の王』 淡白にまとめると、原発戦争の最中、子供たちを疎開させる飛行機が不時着し子供たちが無人島での生存を余儀なくされる話です。 自分が読んだ訳ではないので言いにくいですが、『十五少年漂流記』に影響を受け…

新釈 走れメロス (森見登美彦)

最近新しく文庫化されましたね。店頭で見かけるたび悦に入っています。 ようやく気づいたか!みたいな王様発言したくなります。気分は四畳半王国の孤高の一匹王様。お察しの通り、森見登美彦の小説はわりと読んでいて、たっぷり毒されております。列挙すると…

砂の女 (安部公房)

天才、安部公房ですね。僕は『砂の女』の圧倒的完成度に恐れおののき、安部公房作品は少なくとも文庫になってる物くらいは全部読まねばと思わされました。 といっても、まだ6冊しか読めてません。読んだ順番に『第四間氷期』『砂の女』『他人の顔』『R62…

ユリゴコロ (沼田まほかる)

沼田まほかるさんの『ユリゴコロ』です。 最近、吉高由里子さん主演で映画になりました。 沼田まほかるさんに関してはつり革広告で名前を見つけて気になっていて、『痺れる』という短編集を読んだのが最初です。 短編集に打ちのめされたので、そっちを紹介す…

窓の魚 (西加奈子)

西加奈子さんですね。 アメトーーーク!!の読書芸人で何度も取り上げられてすっかり有名になった印象です。 僕が最初に見つけたのもレビューでの高評価でした。コメントから判断して救いの物語を書く人だと感じました。はたして読んでみるとなぜか心地よく…

女生徒 (太宰治)

文豪と言えば太宰治。今日紹介するのは太宰の短編の一つ『女生徒』です。 ある女の子の過ごした平凡な、特に事件が起こるわけでもない一日を描いています。年頃の女の子ゆえにいろいろ悩みもあるわけで、自分を省みては心が揺れ動いてばかりです。かといって…


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