よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

プラットフォーム(ミシェル・ウェルベック)

久々の更新になってしまいました。昨年末に読んで衝撃的だった『プラットフォーム』の紹介から入りたいと思います。

 

この本、とても話題になっているのはご存知でしょうか?イスラム国の出現を予言したことで一躍有名になった小説です。イスラム教の孕む危険性について指摘した先見性が評価されており、実際に宗教に関する理解が伺えるものでした。

 

実を言うと、僕が衝撃を受けたのは別の理由でして、この小説自体もイスラム教についての言及だけではないんですね。そもそも、この小説は充足感をなかなか感じられない男性の話です。彼が生活に生き生きとした中身を与えるに至るところ、その充足感についての話がメインであって僕を驚嘆せしめたところのものであります。

 

主人公は人生に変化を求めて海外旅行に出て、そこで出会った女性と恋に落ち、彼女の仕事に協力しつつ仕事も恋もっ!という生活は彼に生きる喜びを与えます。彼女の仕事とは旅行代理店で、彼らはセックス観光なるものを展開していくことになります。文字通りセックスができるように取りはからう旅行パッケージです。

 

で、何がそんなにすごいと思ったかというと、鬱々とした現代人に足りないのはもっと純粋に感情的な体験であるということを体現しているとこなんですね。恋愛で元気になった主人公や、彼らの押し進めていく事業でもその主張が貫かれています。

 

理屈っぽいものに囲まれている我々はもっと心にダイレクトに(理屈抜きで)響いてくる体験が足りていない。僕はこういう考えを宮台真司に感化されて持つに至ったのですが、その宮台真司自身も純粋に感情的な体験である恋愛を非常に重視しています。高橋源一郎の『恋する原発』もチャリティーAVなんてものを出してきていますし、性的な体験を重視している人が意外といるんだなって思ったりしていました。しかも、今あげた二人も『プラットフォーム』の著者ミシェル・ウェルベックも理詰めで考えていった結果であるのが唸らせます。

 

でも、性交渉にしろ恋愛にしろ相手依存的なんですよね。そういう弱点があるわけですけど、宮台真司なんかは恋愛はきっかけであってその相手一人を深く理解し愛していくことで愛の対象を全ての人に向けていくのだという主張です。で、ミシェル・ウェルベックも抜け目無いですから恋愛が相手依存的な賦活剤であることを理解していますから、その辺りをどうするかは読んでみてのお楽しみということで。

 

まぁごちゃごちゃ書きましたが、単純に「なかなか充足感を感じることの出来ない人」という設定がドストライクだったのもあり主人公に感情移入しやすく面白かったです。


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