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よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

ユリゴコロ (沼田まほかる)

オススメ本

沼田まほかるさんの『ユリゴコロ』です

映画か何かになっていたはずです。
 
 
沼田まほかるさんに関してはつり革広告で名前を見つけて気になっていて、『痺れる』という短編集を読んだのが最初です。
 
短編集に打ちのめされたので、そっちを紹介するのと迷ったのですが、知名度の高い方がいいかなと思って『ユリゴコロ』にしました。こっちも好きですし。
 
 
さて、ネタバレはなるべくしないようにして紹介していきます。
母親が亡くなり父が重い病気になり婚約者が失踪するという三重苦の中、主人公は実家であるノートを見つけます。ノートの中身は殺人の記録でした。ノートの筆者は一体誰なのか?両親のどちらかならば自分の血には殺人鬼が宿っている!そしてまた婚約者は一体なぜ失踪したのか?
謎が解き明かされていきます。
 
 
実のところ、オチは途中から見え見えでした。それでも良いと感じたのはユリゴコロという造語を通した殺人鬼の心情描写がおもしろかったこと、オチが分かった上でなお今後の展開が気になったことによります。
 
ユリゴコロとは拠り所の聞き間違えから殺人鬼の心に生まれた単語です。幼少期は人形に、その後は人を殺した経験に、ユリゴコロなるものを見出だし、自分の心にユリゴコロがある限り生きていけると言います。
 
心に巣食う虚無感は殺人の絶大な高揚感により補われます。そうした高揚感、激烈な情動こそがユリゴコロで、その時の殺人鬼は殺しによってしか虚無感を埋め合わせることができなかったのだと、僕は読みました。
 
(ちなみに、中村文則の『悪意の手記』でも、似たような描写があります。殺人を犯した後、虚無が終わったと。)
 
 
 
さて、我慢しきれないので短編集の『痺れる』にも触れてしまいますが、あっちは一発目の『林檎曼陀羅』からやられました。あれはすごいです。
 
沼田まほかるはホラー作家と言われていますが、人の心のドロドロしたところをよく見つめているのだなと。そして心の深層を見事に描き出しているのだなと、思いました。
 
 
 


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