よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

全滅脳フューチャー

アニメオタクは底辺。

そんな時代はもう終わりつつある。『電車男』に端を発したオタクの逆転劇は様々に世に出てきている。

桐島、部活やめるってよ』なども中心的人物であった桐島が居なくなり、スクールカースト最上位層があたふたする一方で、クラスの地味な映画オタクがかえって生き生きとしている姿が描かれた。

 

今や、オタク=ダメ人間の式を感じているのは時代遅れだ。オタクでありながら、ホストの経験もある海猫沢めろんはその意味で時代の最先端にいるだろう。

『全滅脳フューチャー』は彼の経験を踏まえて綴った自伝的小説だ。

 

とはいえ、本文の印象はオタクに基礎を置いておりホスト的な視点はあまり無かったように思う。事前知識があっただけに予想外だったが、決して期待はずれではない。

 

主人公は底辺も底辺。オタクをこじらせるあまり、人が話してる間も頭のなかでは妄想やアニソンの歌詞が展開される。

自分が神の使徒であると思い始めたりもするし、全ポイント貯まると人類が滅亡する人類滅亡ポイントカードを作ったりする。

 

単純に彼の妄想が面白い。単純に面白いというのはシンプルだが非情に魅力になる。

ただ、もちろんこの小説の魅力は他にもあって、ガンダムも現れないし魔法少女が悪を倒すことも無い現実に面して、何もかも終わってしまえばいいと思うような絶望やどうにでもなれという自棄の気持ちを上手く汲み取っている。

 

現実への絶望感はオタクであろうとオタクでなかろうと持っているわけで、現代共通の本音のようなものだ。

僕はこれをつい最近書かれたのだと思っていたのだが、90年代に書かれたものだった。慧眼に感服する。今なお各所で活躍中の海猫沢めろんをしばらく注目していこうと思う。

 

 


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