よみしろの読む城

読んでもわからない人へ送る「僕はこう読み考えた」

母の日ということで

母の日にかこつけて文章でも書こうかと久々にブログを開いたら、今週のお題「おかあさん」とあった。

やはり身近な人に思いの丈をぶつけるのは何かきっかけが必要なんだなぁと改めて思う。

不特定多数に発信するメディアで一人に向けてメッセージを送るのが不適当なのは分かっているけれども、まぁ、個人的にはブログを言い訳にできて都合がいいので。

 

 

おかあへ



24年生きてきて手紙を書いたのは簡易なものを含めてほんの数回です。

 

日頃から感謝の意を示すでもなく、なんならどう感謝すればいいのかもはっきりと分かってない有様で、出来がいいんだか悪いんだか分からない息子に育ちました。素直にありがとうと言いもしないのだから育てた甲斐もなかろうと思う。なんかごめん。

 

柄にもなくこうも改まってみているのは、「おかあもいつかは死ぬんだもんな」という想像がいつにないリアリティーをまとって襲ってきたからで、多分昨日の夕飯でそんな話をしたのが原因。というか絶対そう。

普段は飄々と「人間なんぞいつか死ぬものだからな」などと考えていたりするのだけど、今晩ばかりはどうにも落ち着きません。

 

おかあがいつか死ぬんだと想像するのは実は度々あることで、一番古い記憶は小学校の低学年かあるいは入学前ぐらい。ベッドに染みついたいわゆる"お母さんの匂い"を嗅いで安心する傍ら、この匂いがいずれ完全にこの世から抹消されてしまうのだと思い、抱えきれない不安に襲われ、涙したことをよく覚えています。本邦初公開です。

 

さっき、手紙を書くのはほんの数度目と書いたけれど、小学校のときに親子間で手紙を書く授業があったのを踏まえてのことでした。あの手紙は実は今でも持っていて、数年に一度ふと思い出して読んでは号泣してます。

不本意ながらとても愛されているのがたまらなくなります。

 

何をどう間違えたのか、いつのまにかセンチメンタルな気質が染みついていて、自分が不幸であるとどうしても思いたがるような偏屈人間になってしまったのだけど、それゆえにあの手紙から濁流の如く溢れ出る愛を、黙殺してきた愛を前にして涙が止まらなくなるわけです。

 

そのくせ、冒頭に書いたような、何に感謝をすればいいのか分からないという気持ちも本心です。何も考えずにありがとうと言えばいいのに、そうもいかないようです。偏屈なので。

一人暮らしをしている友人たちが言うのは、自分で作らなくてもご飯が出てくるうえに話も聞いてくれるから実家最高というような話で、だとしたら、感謝の対象は母ではなくて母の担っている機能にならないだろうかと思うのです。機能であれば他人と交換可能です。

例えば何もしなくてもご飯が出てくるというのについては、安くて美味い飲食店が完全上位互換にはなしょう。いや、まぁ、色々時間と労力とを割いてくれていること自体は感謝して然るべきだし感謝しているのだけど、この感謝は身内でない人に対するそれに近いものを感じるわけです。そういう感謝を許容すると「そういう労働は頼まないから代わりに感謝もしない」という可能性を暗に含むことにはなるまいか、と考えたりもするわけです。多分、わざわざ問題を複雑にして考えてしまっているのだけども。

話し相手としてとか、ここまで育ててくれて、とかいろんな理由があって感謝をすることは自然なはずなのだけれど、そのいちいちに反論や少なくとも納得のいかないところがあって、まがい物の「ありがとう」しか言えない気持ち悪さを抱えているのです。

我ながら素直じゃないとは思っています。恥ずかしいのを誤魔化しているところもあるのでしょう。嘘でも言えばいいのに嘘はなかなか大変なのも事実であって、甚だ厄介な性格をしています。

 

けれども、考えてばかりいるのも悪いことばかりではないようでブレイクスルーもたまにはあります。今回のもそう。

長年、釈然としなかった疑問がミソでした。

「ありがとう」の語源が「有り難い」であるというやつ。有ることが難しい、から感謝の意味になるという説明がかなり強引なものと感じていました。

昨晩おかあが死ぬのを想像したときの「嫌だなあ」という純然たる感情は「有り難さ」という希少性を超えた唯一無二性に対する感情だとようやく気づきました。その感情こそが「ありがとう」の気持ちそのものでした。ということで、改めまして。

おかあ、ありがとう。

 

ご存知の通り遠回りが得意な人間なので、たった5文字の言葉をいうのに1400文字くらい費やしたようです。肝心なところが不器用ですまない。ただ、ここまで育つにあたり、おかあが与えた影響の少なからぬことを鑑みてご容赦いただきたい。

 

2018年 母の日に


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