よみしろの読む城

読んでもわからない人へ送る「僕はこう読み考えた」

スタッキング可能 松田青子

女性らしい感覚というのがある。

女性として生きるには、男性的にはわざわざ言ってもらわないと分からないような理不尽さを感じていることがある。らしい。

 

会社でお茶汲みばかりさせられて面白くない、くらい分かりやすければ「うんうん。つらいね。頑張ってるね」って思ってあげられる。

でも、小さいポーチでおしゃれにきめたいけど化粧品とかも持ってなきゃいけないからサブバックを持ち歩かないといけない。これじゃあどっちがサブか分かんないよっ!なんて発想には至らず、「なんで女子ってポーチパンパンにしたがるのかわからん」で止まってしまう。

ましてや、フィギュアスケート選手がハンドバックを握りしめながら得点発表を待つのを見て女の宿命を感じることなどできない。

そんな小さな嘆きを「ウォータープルーフ嘘ばっかり!」と魔法の言葉を唱えれば、理不尽をいやみ無く発散できるような気がして来る。

 

松田青子の『スタッキング可能』に収録された短編たちはどれもそんな気持ちよさがある。

表題作の『スタッキング可能』もさることながら、他の短編も決して数合わせのおまけではない魅力がある。

 

女性らしい感覚と冒頭で述べたが、男性である自分は、読みながら悩める女性を部外者として眺めていたのではない。むしろ同じ現代人としての不満を別な着眼点から上手く言葉にしてくれた快感があった。

 

解説が穂村弘なのだが、彼もまた絶妙にいいところを拾い上げる職人なので、個人的には二重に味わい深かった。

 


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