よみしろの読む城

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ペスト(カミュ)

カミュのペストです。

 

異邦人で有名ですね。見た目の薄さから気楽に手を出してよく分からないまま終わると有名な異邦人ではなく、今回はペスト。

 

ペストとは致死率・感染力ともに重篤な被害をもたらす感染症で、作中ではペストが蔓延した街の人々の様子を手記の形をとって記述されています。 

 

人間が窮地に陥った時、どのように振るまうのかが精緻な文章で書かれていて見事です。

 

信じがたい事態をすぐには受け止めず、事が手遅れになってから現実を受け止めない人々。

なにも変わらないのが分かっているのにできる役所の行列。

次第に厳かさが失われていく葬儀。

この世の終わりを示唆し始める宗教の教祖。

倦怠感に飲み込まれていく人々。

 

ですが、そういう人間観察的な部分も含みますがカミュは異邦人でも触れているような死刑制度を睨んでいるようです。

 

というのは、社会になじむ事の出来ない人は他の圧倒的な大多数の生存のために殺すないし収容をする、と法律が認めているわけです。しかし、それは死刑に直接関わる人でなければ普通に生きてたら意識されません。あっても見て見ぬふり。

 

犯罪者は自分の欲求を満たすと社会不適合となるわけで、言うなれば"一般人"が普通に生きるために犠牲になっている人であり、皮肉にも普通に生きている"一般人"には意識されず同情すらされないという構図がここに隠れています。

 

この構図は普通に生きている人がペストに感染しないために感染区域を隔離し、一定期間過ぎるとその事実を域外の人(普通に生きてる人)は忘れてるという構図と一緒です。

 

普通にしているだけで犠牲にしているものが多いということです。僕らが生きてるこの世界、なかなか厄介です。

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