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よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

クラクラ日記(坂口安吾特集2)

坂口安吾 オススメ本

坂口安吾夫人が彼と出会ってから彼が死ぬまでのことを書いた自伝的なもので、坂口安吾ファンは必読の一冊。

坂口安吾自身が最も大切にしたとして有名な『青鬼の褌を洗う女』ですが、そのモデルとなったのが『クラクラ日記』の著者である三千代夫人。

 

 

『クラクラ日記』は等身大の坂口安吾が書かれている点、作品が書かれたときの状況に触れられている点において坂口安吾ファン的には貴重です。ただし、それのみならず、夫婦の相性の良さが窺い知れて坂口安吾を知らない人の読み物としてもとても面白い。

 

高校の現代文の授業なんかでは作家の生きた時代背景やなんかを踏まえつつ読んでいくというスタイルで、当時の自分としては面白くなかったのですが、いざ好きな作家の背景を知るとなるととても面白いもので、あぁこういう風に書いてるんだなとか、こんな風に苦しんできた人なんだなとか、自分の現状と重ね合わせてみたりしながら読んでいけました。

 

 

僕自身がわりと鬱っぽくなりやすいというか、すごい虚無感に襲われやすい人なんですが、そんな僕の心の奥底まで戦慄せしめたのが『桜の森の満開の下』 でした。これを書いた坂口安吾は一体どんな人なのだろうと思ったら、なるほど僕と同じような虚無感に僕よりも遥かに強度に襲われている人でした。同じ経験をしてきた人の作品は心に響くんですね。睡眠薬を何錠も一気に飲むって相当ですよね...

 

ところで、先ほど言ったように『クラクラ日記』は夫婦の相性の良さが窺い知れると言う面でも面白い。三千代夫人は自分が安吾を支えることが天命であるかのように献身的で、安吾の方もそれを求めていて「俺が浮気してもお前は許さねばならないがお前は浮気してはならない」とまで言い切ります。ところが、ただの傲慢な亭主関白かというとそうでもなくて「お前を愛するのに俺以上の人はいない」というようなことも言っていて二人の息がピッタリに感じてしまいました。

本当に理想的な夫婦だなと思います。別に、全ての女性が夫に献身的であれと言いたいのではなくてお互いの求める夫婦像がもとからピッタリあっていることに相性の良さを感じるからです。とはいえ、三千代夫人の苦労は甚だしいもので、安吾が10分以内にこれを買って来いと言われれば女中と結束して10分以内に買ってくるし、何日も安吾が帰ってこない日でも浮気をしていてもじっと耐え続けるし、いわれの無い浮気疑惑をかけられればあの手この手で誤解を解きます。そして本人が一番大変な思いをしたというように、安吾が薬漬けになって発狂したときには安吾の親しい友人に助けを求めたりもしつつ懸命に介護します。安吾が寝れないでいる時に自分が寝ていることに苛ついているというので、自分も覚醒薬を飲んで寝ずに看病しようとまでします。感服です。

 

つくづく、日本の女性は強いもんだと思わされてしまいました。

 

 


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