よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

第七官界彷徨 (尾崎翠)

あらすじ

人間の第六感を超えた第七官に響くような詩を創りたいと密かに思う町子。一風変わった家族の一員となって共に生活することになる。一助は分裂心理学の研究をしていて、二助は黴の恋とこやしの研究をしている。三五郎は今年の春に二度目の音楽受験をする従兄弟。彼らの生活を描く。

 

 

尾崎翠は忘れられた作家と呼ばれるらしいですね。というのは1931年に書いたこの『第七官界彷徨』が1969年になってようやく再発見され、その2年後に75歳で逝去したから。

そもそもそんなに昔の作品だとさえ思わないで読んでいたから、こんなものは入れ知恵のようなものなんですが、でも妙に納得してしまいました。全体的な雰囲気とそういう裏事情が違和感なく一致するというか。

 

僕がこの小説に抱いた印象を一言でいうならば「真冬に寒さに凍えながらこたつに入って温かいお茶を飲む感じ」でした。意味分からないですが自分ではいいところ突いた気でいます。

底流するうら寂しさとそれでも暖かさが共存してできている小説だと思います。

 

同居人たちはみんなしっかりした目的を持って自分の足で立って歩いている印象です。黴の恋についての研究とか、変なことをしているとは思うのですが、それでもちゃんと生きてるって感じが優しくてとても素敵でした。

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