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よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

希望の国のエクソダス (村上龍)

オススメ本

あらすじ

パキスタンで日本人の少年テロリストがインタビューを受けた映像が日本中に衝撃を与えた。特に同世代であった日本の中学生は感化され、立ち上がった。学校への反抗から始まり、ネットを駆使して仲間を募り、企業などを通して日本の経済構造を大きく変えていく。

 

 

(普段はですます調だが、村上龍の文体につられてしまったので今日は〜だ、〜である調でいく)

 

友人に勧められて読んだ小説。今の日本はおかしい、というのは簡単だが、どうおかしいのかやどうすればいいのかについて述べるのは難しい。この小説は村上龍が自分なりの一つの理想形を少年たちの革命というかたちを借りて綴っている。

 

最終的には北海道の一地域で独自システムで運営される社会を形成する。個人的な印象だが、その社会の有様は合理的すぎることのない暖かみを感じさせるものであった。当然、村上龍はその社会を暖かみのあるものとして描いているのだが、描写に影響されてそう感じたわけではない。

 

例えば一番好意的に感じたのは、その社会ではいろいろな事業を行っているが、全てが黒字というわけではなく赤字のものもある。では黒字に転換する見込みの無いものは削ってしまうというのが、現代社会における通常の発想だが、そこでは違う。その事業が赤字であったとしても必要とする人たちがいるから続けているのであって、そのコストは他の事業から来る利益で補填すればいいと言う発想なのだ。僕はそこに暖かみを感じたのだ。

 

 

この小説が現実的かと言うと全くそんなことはない。そもそも中学生が日本を変えるというところから無理がある。それに、そううまくことが進むのであれば今の日本はもっと別の形になっているはずだ。

 

だが、そんなことは実はどうでもいいのだ。冒頭でも述べた通り、日本はおかしいと言うのにその根拠や解決策を見出すこと自体が困難であるなか、こうした一つの理想を掲げていくのは必要な第一歩だからだ。行き先も現在地も分からずに進むのは無理があるだろう。

 

この国には何でもある。だが、希望だけがない。

 

これは至言だろう。国全体の将来が見えず進むべき道も分からずただ進んでいるだけの不安が安穏とした生活の中に混じり、どこか陰鬱とした雰囲気の隠せない社会を端的に表している。

 

 

と、ここまで偉そうなことを述べてきたが、恥ずかしながら作中で述べられた経済の内容は理解できないものが多かった。日本の経済的実情を図る上で必要な知識が複雑であり、自分は置いてけぼりにされていることを思い知らされた。


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