新釈 走れメロス (森見登美彦)
最近新しく文庫化されましたね。店頭で見かけるたび悦に入っています。
ようやく気づいたか!みたいな王様発言したくなります。気分は四畳半王国の孤高の一匹王様。
お察しの通り、森見登美彦の小説はわりと読んでいて、たっぷり毒されております。列挙すると
『四畳半神話大系』
『夜は短し歩けよ乙女』
『ペンギンハイウェイ』
『四畳半王国見聞録』
『恋文の技術』
ですね。いろんな人のを読みたいタイプの僕からすると、1人の作者で何冊も読むのは珍しいのですが、やっぱり面白いですからね。笑いたくなったら森見さんに助けてもらっています。
そういえばアニメも見ました。ぞっこんです。
さて、件の『新釈 走れメロス』ですが、表題の走れメロスを含め計5編の文学が森見テイストで書き直されています。
『四畳半神話大系』に代表される「クズ大学生が京都を舞台におもしろおかしく立ち回る」みたいな雰囲気を残しつつ、元となった文学作品を生かしていて、まるで森見さんが消化した文学作品を消化したそのままの形で見せてもらっているかのような気持ちになりました。
始めっから終わりまで爆笑させていただきました。満足です。特に『走れメロス』のパロディは面白かったですね。ここで僕が中途半端に内容を漏らして楽しみを減衰させても嫌なので、四の五の言わずに読んでいただきたい。(口調が乗乗っ取られたか?)
『新釈 走れメロス』は僕がパロディの面白さを痛感した初めての作品でもあります。そもそも文体が良いのもありますが、それだけではありません。
例えば、『桜の森の満開の下』のパロディがあるのですが、ここで感じた原作の雰囲気に誘われ原作の方を読んでみたところ、僕の今までの全読書歴内でダントツの1位を占める作品となりました。
そんな出会いを引き起こしてくれたのもあり、思い入れは大きかったりします。だって、原作の雰囲気をちゃんと残してくれていたからこその出会いがあった訳ですから。