思惟漏刻

本のおすすめと思考とっちらかしサイバーデブリ

ご無沙汰です

だいぶ久しぶりの更新になってしまいました。 どうせまた消えると思いますが、気負わず気が向いたら更新する感じにしていきたいと思います。 今回は適当に所信表明だけにしておきます。 今まで、本を読んで感想を書くというだけでしたが、自分が一貫性のない…

俺俺(星野智幸)

久々にこんなに面白い本を手にしました。 突飛な設定で先へ先へとページを繰る手が止まらないのみならず、「自分とはなにか」「分かり合うとは何か」について新しい視点を投げかけてきます。俺ってなんだっけ?みたいになってきます。この小説はクッソ面白い…

プラットフォーム(ミシェル・ウェルベック)

久々の更新になってしまいました。昨年末に読んで衝撃的だった『プラットフォーム』の紹介から入りたいと思います。 この本、とても話題になっているのはご存知でしょうか?イスラム国の出現を予言したことで一躍有名になった小説です。イスラム教の孕む危険…

go(金城一紀)

韓国国籍を持つ高校生の話。誇張しているのか時代が違うのか、周囲の日本人の朝鮮人への差別が激しくて、主人公の杉原(本名は李)は差別と向き合い続けます。主人公が韓国国籍であることによる、日本人や高校進学前の朝鮮学校の人の両方から受ける差別が全…

華氏451度 (レイ・ブラッドベリ)

あらすじ (ネタバレ?含む) 世の中に溢れる禁書を焼き尽くす昇火士のモンターグは、自分の仕事を誇りに思っていた。しかし、好奇心に負け禁忌であると分かりながら焼くはずだった本を何度か密かに持ち帰り所持していた。隣家に住む不思議な雰囲気の少女や…

<harmony/>  絶望的な理想郷に圧巻

11/13公開の<harmony/>を早速観に行きました。 衝撃でした。 あまりの衝撃に「すごい」と何度呟いたかしれません。開いた口が塞がりませんでした。 以下、内容を知っている人向けに書きます。要するにネタバレしまくります。 スポンサーリンク // 親切さが人を殺す社会 <harmony/></harmony/></harmony/>…

クラクラ日記(坂口安吾特集2)

坂口安吾夫人が彼と出会ってから彼が死ぬまでのことを書いた自伝的なもので、坂口安吾ファンは必読の一冊。 坂口安吾自身が最も大切にしたとして有名な『青鬼の褌を洗う女』ですが、そのモデルとなったのが『クラクラ日記』の著者である三千代夫人。 『クラ…

桐島、部活やめるってよ (朝井リョウ)

『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ タイトルの通り桐島君が部活をやめます。彼はバレー部のキャプテンなのですが、なぜかやめてしまい周りの人は戸惑います。 この小説の最も特筆すべき点は肝心の桐島が一切登場しないということ。それでいて桐島がやめ…

恋する原発 (高橋源一郎)

チャリティーAVを作る話です。 もう一度言います。 チャリティーAVを作る話です。 作者が自分で言っていますが不謹慎です。3.11の震災の支援チャリティーとしてAVを作るというので、常識はずれ極まりないことをします。ですが、逆に世間の常識に一発パンチを…

第七官界彷徨 (尾崎翠)

あらすじ 人間の第六感を超えた第七官に響くような詩を創りたいと密かに思う町子。一風変わった家族の一員となって共に生活することになる。一助は分裂心理学の研究をしていて、二助は黴の恋とこやしの研究をしている。三五郎は今年の春に二度目の音楽受験を…

嵐のピクニック (本谷有希子)

衝撃を受けました。 こんなにも訳が分からず、こんなにも面白いのは初めてです。 大江健三郎賞を受賞した短編集で、13篇収録されています。冒頭で述べた通り、訳が分からないのですが、脈絡がないとか理不尽とかそう言うことではなくて、どこか重要な核と…

ふるさとに寄する讃歌 (坂口安吾特集1)

あらすじ 何かを求めていながら、何を求めていればいいのか分からない私は、次第に希薄な存在になり、感情にさえ実感が欠けていることに気付く。 私は、求めることに、疲れていた。私は長い間ものを求めた。そのように、私の疲れも古かった。私の疲れは、生…

ベロニカは死ぬことにした (パウロ・コエーリョ)

あらすじ ベロニカは若く美しく仕事も順調だった。しかし、それでも心が満たされない彼女はある日、自殺を図った。目が覚めると精神病院におり、自殺が失敗していたことを知る。さらに、自殺の後遺症で余命が一週間ほどであることを告げられる。関わる気にも…

スロウハイツの神様 (辻村深月)

チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。 そんな一文で始まるのは、脚本家や小説家など創作活動に捧げている人々が集まって暮らすスロウハイツでの物語。彼らは同居人でもあり超人気作家でもあるチヨダ・コーキのファンで、特に環は熱烈なファン。そんな…

戦後史入門 (成田龍一)

今回は小説ではありません。最近は小説少なめですね。 さて、表題の『戦後史入門』は名前の通り戦後史についての入門書です。ですが、ただの入門書ではありません。 僕が予想していたのは、安保闘争があってこう言う背景があって、他にも大学紛争なんかがあ…

神保町に行ってきました

昨日は神保町に行ってきました。 読書好きならご存知、神保町ブックフェスティバルと神田古本祭りに突撃です。 試験勉強で忙しくて散々我慢した後の神保町ですからね。期待していきました。 古本ってたくさんあるんですね。当たり前ですが。 自分が普段読む…

すべて真夜中の恋人たち (川上未映子)

『すべて真夜中の恋人たち』は紙の本で読みたい物語です。 きちんとイスに座って読み、コーヒーをすすりながら静かに紙をめくる。読み終わって、ふぅと小さめのため息をひとつつく。それから「いいなぁ」と感慨深げにつぶやいてしまう。 そういう読み方がと…

希望の国のエクソダス (村上龍)

あらすじ パキスタンで日本人の少年テロリストがインタビューを受けた映像が日本中に衝撃を与えた。特に同世代であった日本の中学生は感化され、立ち上がった。学校への反抗から始まり、ネットを駆使して仲間を募り、企業などを通して日本の経済構造を大きく…

小市民シリーズ(米澤穂信)について

前回の「古典部シリーズについて」に続いて今回は小市民シリーズを取り上げたいと思います。 表紙がどれもいいですね。小市民シリーズ通して、片山若子さんというイラストレーターの方が表紙を手がけているのですが、この人の絵はたまりません。大好きです。…

古典部シリーズ(米澤穂信)について

僕が読書にはまったきっかけとなった本です。 最初はアニメから入り、ドストライクすぎて古典部シリーズを読破し、勢いが止まらず小市民シリーズも一瞬で読んでしまった経験があります。僕はそれまで読書というものに小難しいものを感じていたので、読書の敷…

フィッツジェラルド短編集 (スコット・フィッツジェラルド)

『華麗なるギャツビー』で有名なスコット・フィッツジェラルドの短編集です。 6篇収録されているのですが、やはり全体的に似ているところがありますね。同じ作家の作品をいくつか読んでみるとなんとなくその人が見えてくる感じがありますが、フィッツジェラ…

楽園のカンヴァス (原田マハ)

あらすじ アンリ・ルソーの名作「夢」に瓜二つな絵画が隠されている。「夢をみた」と言うタイトルのその絵画は一体何なのか。公式に美術館に展示されている本物であるはずの「夢」は本当は贋作だったのか。 ルソーを専門とする日本人の天才研究者オリエ・ハ…

三四郎 (夏目漱石)

読まねばならないという謎の義務感を持っていながら結局全然読んでなかった『三四郎』です。この前ようやく読み終わったのですが、感想を一言 もっと早く読んでおけば良かった 漱石ともあろう秀才がまるで自分のような”頭のいい人に囲まれて劣等感に苛まれて…

死んでしまう系の僕らに (最果タヒ)

初めて扱いますが、詩集です。 僕はほとんど詩には手を出さないので紹介するのもおこがましいくらいなのですが、好きになってしまったので、仕方ないですね。 まず、表紙とタイトルが素敵です。 詩は全体が短いだけあって一単語一単語を大事に味わっていきた…

芋虫 (江戸川乱歩)

おどろおどろしい作品を描く印象の強い江戸川乱歩ですが、『芋虫』もまた然り。以下、あらすじです。 戦争から帰還した夫は四肢が全て失われており、加えて耳も使えず頭も十分には働かず、できることと言えばのたうち回ること口にペンを加えて何文字かの筆談…

友情 (武者小路実篤)

あらすじ(ネタバレ含む) 野島は美しい娘、杉子に出会い一方的な恋に落ちる。積極的に関係を築いていきたいと思いながらも鬱陶しく思われることを恐がり、進展のない日々を過ごす。そうした煩悶を親友の大宮に打ち明け、協力を仰ぐがなかなか首尾は良くない…

村上春樹の良さ

村上春樹ほど好き嫌いの別れる作家はいないのではないでしょうか? 全くわからんと一蹴する人がいる一方で、ハルキストと名前が付くほどのファンをもつ作家。そんな作家さん、なかなかいません。 かくいう僕も最初は嫌いで、後に読み直して大好きになった口…

マザコン (角田光代)

『八日目の蝉』で有名な角田光代さんです。 僕はかつて、角田光代さんに打ち抜かれたことがありまして、『最後の恋 つまり自分史上最高の恋』という複数の作家さんの短編をまとめた本があったのですが、そこでの話がとんでもなくて「この人はヤバい!」と思…

コーヒーと恋愛 (獅子文六)

Sponsored Link // // あらすじ 主人公はお茶の間で人気な女優のおばさん坂井モエ子。コーヒーを淹れさせたらもの凄い美味しい。旦那は無類のコーヒー好きで、モエ子の周りには他にも可否会というコーヒー好き集団がいたりします。ある日、旦那がモエ子のコ…

星を継ぐもの (J・P・ホーガン)

海外のSF作品です。作者はJ・P・ホーガン SFだったら『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』とか『夏への扉』とかも読んでいて、いずれ記事を書いていこうと思っているのですが、今回はイチオシのお気に入り小説でいきます。 物語は月面で宇宙服を着た死体が…


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