よみしろの読む城

好きな小説を好きなだけ褒めちぎります

あなたの人生の物語 (テッド・チャン)

言霊というのがある。 祝詞のような霊力の宿った言葉が言霊と言われ、それを唱えることで人智を越えた力が生じる。僕はそんな理解をしている。 けれど、ネットで調べると、単純に言葉が人間に影響することくらいの意味合いで使われている様子だ。「死ね」と…

青少年のための自殺学入門 (寺山修司)

ハイデガーは人間を「死への存在」と呼んだ。 大雑把に、死を意識することでより人間らしく生きることができるというような意味で、大雑把な理解なりに「そんなもんか」と思っていた。 ハイデガーの文章は読んだことがないが、クセのある文章が彼のカリスマ…

思惟漏刻 [走る社会的動物]

考えたことを書く。言うなればエッセイのようなものをしてみようと思う。 以前から、自分でノートに書き散らかしてはいたのだが、放ったらかしになっていた。それもそのはず。汚い字にまとまりのない文章だから読み返す気にならない。他人に見せることを意識…

共喰い (田中慎弥)

自分にぴったりなものがちょうどいいタイミングで自分のもとにやってくる、なんてことがたまにある。 些細な例で言えば甘いものが食べたいなと思いながらも自制心を働かせて買い食いは我慢して帰ってみると、母親が知り合いからクッキーをもらったのを分けて…

アイマスPの違和感

突然ですが、僕はデレステのPです。 デレステとはアイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージのことで、Pとはプロデューサーで平たく言えばプレイヤーです。 要するにスマホのアイドル育成ゲームをやっておりますということです。 (ちなみに…

ジャッカルの日(フレデリック・フォーサイス)

暗殺者というのは言い知れぬ魅力がある。 殺しは往々にして悪いことであると分かっていても、キャラクターとして映画や小説に登場するとわくわくする気持ちがどうにも出てしまうのだ。 『LEON』は最高だった。幼き日のナタリー・ポートマンの迫真の演技とジ…

いまさら2017年を振り返りまして(映画おすすめ5選)

あけましておめでとうございます と、言うには少し遅過ぎるのは先刻承知のうえでございます。 今回の年末年始は、寝正月を先制スタートを決めるべく、年越し前からぐだぐだしており正月もテレビを見ることすらなく初詣に行くでもなくしていたことと言えば引…

全滅脳フューチャー

アニメオタクは底辺。 そんな時代はもう終わりつつある。『電車男』に端を発したオタクの逆転劇は様々に世に出てきている。 『桐島、部活やめるってよ』なども中心的人物であった桐島が居なくなり、スクールカースト最上位層があたふたする一方で、クラスの…

スタッキング可能 松田青子

女性らしい感覚というのがある。 女性として生きるには、男性的にはわざわざ言ってもらわないと分からないような理不尽さを感じていることがある。らしい。 会社でお茶汲みばかりさせられて面白くない、くらい分かりやすければ「うんうん。つらいね。頑張っ…

へヴン

いじめはよくない そりゃそうだろう。だが「いじめはよくない」の一文に何の意味があるだろうか? この一文でいじめっ子が己の悪事を自覚して、反省し昨日の敵と仲直り、なんてことはあり得ない。 第一、いじめてる側も自分のしてることがいじめだと気づいて…

働く男

星野源さんの一冊。 自分がほぼテレビを見ない生活をしているからか逃げ恥で有名になる前は、なんか歌手とかもしてる人としか知りませんでした。 本を書いているも知ってはいましたし、評判が良いのも聞いてましたが、歌手に俳優に執筆業とは節操が無いなと…

たつき監督降板騒動を受けて

事態は収束しつつあるようですが、けものフレンズの立役者たるたつき監督の降板騒動を受けてカドカワに対する態度を表明させていただきます。 そもそも、けものフレンズは吉崎観音さんのキャラデザインを原型にヤオヨロズ所属のたつき監督を主導として製作さ…

隷属なき道

普段は小説ばかり書評していますが、良いものは小説であれこういう学術書であれ紹介していきますね。 本書のタイトルは省略なしだと『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』と、言いたいことを全部詰め込んだようなタイトルです…

愛のむきだし

今回は映画 園子温監督の『愛のむきだし』 世間的には満島ひかりを大抜擢したのが評判らしく、個人的には監督がとても尖ってて面白いのでずっと気にはなっていたのですがなかなか観れませんでした。 と、言いますのもこの映画全部で4時間くらいあるんですね…

2016年読んだ中で最強の激ヤバ本

あけましておめでとうございます。 最近は読書ブログだと言うのにめっきり本の感想を更新しておりませんでした。ふがいないです。 ですが、読むのはちゃんと読んできたわけで去年は漫画を抜いて124冊と、まぁ自分的には読んだ方だと思っております。そして、…

冷たい熱帯魚 園子温

今回は映画です。 まず、見てない人へ ネタバレします。楽しみにしたいならこの先は読まないでください。 それから、とってもグロくてエロっちいです。普通に臓器が出てきたり血がブッシャーってなるシーンとか女の人の裸(モザイク無し)とか出てきます。そ…

ペスト(カミュ)

カミュのペストです。 異邦人で有名ですね。見た目の薄さから気楽に手を出してよく分からないまま終わると有名な異邦人ではなく、今回はペスト。 ペストとは致死率・感染力ともに重篤な被害をもたらす感染症で、作中ではペストが蔓延した街の人々の様子を手…

ご無沙汰です

だいぶ久しぶりの更新になってしまいました。 どうせまた消えると思いますが、気負わず気が向いたら更新する感じにしていきたいと思います。 今回は適当に所信表明だけにしておきます。 今まで、本を読んで感想を書くというだけでしたが、自分が一貫性のない…

俺俺(星野智幸)

久々にこんなに面白い本を手にしました。 突飛な設定で先へ先へとページを繰る手が止まらないのみならず、「自分とはなにか」「分かり合うとは何か」について新しい視点を投げかけてきます。俺ってなんだっけ?みたいになってきます。この小説はクッソ面白い…

プラットフォーム(ミシェル・ウェルベック)

久々の更新になってしまいました。昨年末に読んで衝撃的だった『プラットフォーム』の紹介から入りたいと思います。 この本、とても話題になっているのはご存知でしょうか?イスラム国の出現を予言したことで一躍有名になった小説です。イスラム教の孕む危険…

go(金城一紀)

韓国国籍を持つ高校生の話。誇張しているのか時代が違うのか、周囲の日本人の朝鮮人への差別が激しくて、主人公の杉原(本名は李)は差別と向き合い続けます。主人公が韓国国籍であることによる、日本人や高校進学前の朝鮮学校の人の両方から受ける差別が全…

華氏451度 (レイ・ブラッドベリ)

あらすじ (ネタバレ?含む) 世の中に溢れる禁書を焼き尽くす昇火士のモンターグは、自分の仕事を誇りに思っていた。しかし、好奇心に負け禁忌であると分かりながら焼くはずだった本を何度か密かに持ち帰り所持していた。隣家に住む不思議な雰囲気の少女や…

<harmony/>  絶望的な理想郷に圧巻

11/13公開の<harmony/>を早速観に行きました。 衝撃でした。 あまりの衝撃に「すごい」と何度呟いたかしれません。開いた口が塞がりませんでした。 以下、内容を知っている人向けに書きます。要するにネタバレしまくります。 スポンサーリンク // 親切さが人を殺す社会 <harmony/></harmony/></harmony/>…

クラクラ日記(坂口安吾特集2)

坂口安吾夫人が彼と出会ってから彼が死ぬまでのことを書いた自伝的なもので、坂口安吾ファンは必読の一冊。 坂口安吾自身が最も大切にしたとして有名な『青鬼の褌を洗う女』ですが、そのモデルとなったのが『クラクラ日記』の著者である三千代夫人。 『クラ…

桐島、部活やめるってよ (朝井リョウ)

『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ タイトルの通り桐島君が部活をやめます。彼はバレー部のキャプテンなのですが、なぜかやめてしまい周りの人は戸惑います。 この小説の最も特筆すべき点は肝心の桐島が一切登場しないということ。それでいて桐島がやめ…

恋する原発 (高橋源一郎)

チャリティーAVを作る話です。 もう一度言います。 チャリティーAVを作る話です。 作者が自分で言っていますが不謹慎です。3.11の震災の支援チャリティーとしてAVを作るというので、常識はずれ極まりないことをします。ですが、逆に世間の常識に一発パンチを…

第七官界彷徨 (尾崎翠)

あらすじ 人間の第六感を超えた第七官に響くような詩を創りたいと密かに思う町子。一風変わった家族の一員となって共に生活することになる。一助は分裂心理学の研究をしていて、二助は黴の恋とこやしの研究をしている。三五郎は今年の春に二度目の音楽受験を…

嵐のピクニック (本谷有希子)

衝撃を受けました。 こんなにも訳が分からず、こんなにも面白いのは初めてです。 大江健三郎賞を受賞した短編集で、13篇収録されています。冒頭で述べた通り、訳が分からないのですが、脈絡がないとか理不尽とかそう言うことではなくて、どこか重要な核と…

ふるさとに寄する讃歌 (坂口安吾特集1)

あらすじ 何かを求めていながら、何を求めていればいいのか分からない私は、次第に希薄な存在になり、感情にさえ実感が欠けていることに気付く。 私は、求めることに、疲れていた。私は長い間ものを求めた。そのように、私の疲れも古かった。私の疲れは、生…

ベロニカは死ぬことにした (パウロ・コエーリョ)

あらすじ ベロニカは若く美しく仕事も順調だった。しかし、それでも心が満たされない彼女はある日、自殺を図った。目が覚めると精神病院におり、自殺が失敗していたことを知る。さらに、自殺の後遺症で余命が一週間ほどであることを告げられる。関わる気にも…


にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へにほんブログ村
広告